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HIVEでの可視化チュートリアル(形状データの可視化)

理化学研究所計算科学研究機構 可視化技術研究チーム 客員技師 奥健太郎

前回,HIVEの概要を説明しましたが,今回は具体的な可視化の流れを解説したいと思います.
HIVEでは複数の形状ファイルを読み込んで表示する事が出来ます.
また,グローバルイルミネーション効果のある高品質なレンダリングを行うことができます.
では順番に解説していきます.

HIVEでは形状データとしてWavefront OBJおよびSTLを読み込むことができます.
今回は3つの形状データを読み込んでみます.画面右下の「Add」ボタンを押してそれぞれの形状データを読み込みます.読み込まれたデータは画面右下に列挙されます.列挙された中からbunny.objを選び,カラーピッカーで色を緑に設定しました.

下の画像はOpenGLモードで表示しています.

GLscene

 

初期設定されているシェーダではレイトレーシングモードに変更してもOpenGLモードと見た目はほとんど変わりません.見栄えを良くするために,グローバルイルミネーション効果のレンダリングをしてみましょう.

シェーダをgiシェーダに変更し,レイトレーシングモードに変更すると次のように表示されます.
レイトレーシングモードのgiシェーダはレンダリングに少し時間かかります.

LSGLscene

見栄えの調整を終えたら,次にレンダリングのカメラ位置を設定してみます.モデルが表示されているビューを設定したいアングルに調整します.今回はbunny.objにクローズアップしたビューを設定してみました.

renderscene

調整が済んだら,Cameraオブジェクトを選択し,プロパティから「Sync View」ボタンを押します.このボタンを押すと,現在見えているビューのパラメータが,カメラのプロパティとしてセットされます.

cameraproperty

ここまでの設定ができれば,シーンの作成は完了です.

HIVEレンダラでレンダリングできるようにシーンファイルをエクスポートしてみましょう.
ビューの右上の「Export」ボタンを押します.

exportseting

今回はアニメーションなどはついていないシーンなので特に設定を変更する必要はありませんが,出力したい解像度を変更したい場合や,出力ファイル名を変更したい場合はここで設定を変更してから「Export Scene」ボタンを押してください.今回はシーンファイル名は「scene.scn」として保存します.

出力されたシーンをスタンドアローンレンダラのhrenderでレンダリングしてみましょう.

$hrender scene.scn

のコマンドでレンダリングできます.設定した出力ファイル名で画像が作成されているのが確認できます.

output16
output.jpg

先ほどプレビューでみたシーンと同じシーンですね.

giシェーダの初期設定ではサンプリング数が16なのでかなりノイズが見えます.サンプル数を変更し,もう少し高品質にしてみます.設定はHIVEのGUIツールからも変更可能ですが,scene.scnはテキストファイルなので,ファイル中のsampleNumに設定されている値を直接変更することも可能です.

output256
output.jpg 

サンプル数を256にしました.かなりノイズは減りました.

HIVEでのレンダリング設定はいかがだったでしょうか.
今回は軽量なシーンだったのでローカルでレンダリングしましたが,hrenderのレンダリングはhrenderの動作する環境であればどこでも実行可能です。
ローカルでは軽量なシーンでレンダリングし品質の確認を行い,京などでサンプリング数を上げ,アニメーションのレンダリングなどを行うようにすることも可能です.