神戸で京を見てきました「計算科学研究機構大公開」
2013年10月19日、爽やかな秋の風がそよぐ神戸ポートアイランドにて、「平成25年度 神戸医療産業都市・京コンピュータ一般公開」として神戸医療産業都市周辺の各施設の一般公開が行われました。
この一般公開は、先端科学をリードする施設や最先端医療・研究に、楽しみながら身近に触れられるというものです。そのなかで、理化学研究所計算科学研究機構(RIKEN AICS)によるスーパーコンピュータ「京」の一般公開も行われました。
会場では、稼働中のスーパーコンピューター「京」を見学できるツアー、「京」のシステムを支える熱源機械棟や「京」を地震から守る免震ピットを間近に見られるツアー、「京」に関する資料・模型等展示などが催されました。また、計算科学研究機構(AICS)の研究を紹介する展示やミニ講義、高度情報科学技術研究機構(RIST)の計算機歴史博物館(展示)も平行して開かれました。
スーパーコンピュータ「京」の見学ツアーでは、稼働中の「京」の全貌をガラス越しに見学することができました。「京」の性能や役割についての平易な説明も随時行われ、集った人々は真剣な表情で説明を聞いていました。撮影も許可されていて、多くの人が「京」を背景にして記念写真を撮っていました。
もうひとつのツアーでは、「京」のシステムを支える各施設内部を間近に見学することができました。具体的には「京」の性能を最大限引き出すための設備のうちのふたつ、自家発電のための2台のガスタービン発電機(熱源機械棟内)と、地震の影響から「京」を守る免震構造(地下免震ピット)を歩いて巡れるツアーです。
2台のガスタービン発電機は、主に「京」のストレージである「グローバルファイルシステム」への電力供給に使われている高効率な自家発電施設で、その廃熱は「京」の冷却にも使われています。稼働中の巨大なガスタービンや冷却システムを間近で見たツアー客は、圧倒されながらも目を輝かせていました。
地下免震ピットは「京」システムを収めた建物全体を支えている設備で、建物を積層ゴムアイソレータや鉛タンパー、U型鋼製タンパーといった免震構造だけで支えています。ガイド役スタッフの説明や楽しげなクイズ形式の問答により、ツアー客は終始笑顔で「京」に使われている免震技術について学ぶことができたようです。
また、計算科学研究機構(AICS)の展示やミニ講義にも多くの一般参加がありました。ミニ講義ではスーパーコンピュータを使ってのシミュレーションの実際やその研究成果などがプレゼンテーションされました。老若男女各世代の聴講者は、真剣に聞き入ったりメモを取ったりしていました。一般参加者の計算工学に対する感心の高さを窺い知ることができました。
高度情報科学技術研究機構(RIST)の計算機歴史博物館では、機械式計算機(手回し計算機)や、8ビットパソコン、ワープロ専用機、各種CPUやストレージなど、それぞれの時代を彩ったコンピュータや周辺機器が展示されました。実動する古い機械も多く、スーパーコンピューターが生まれる以前の時代を懐かしみながら眺めることができました。コンピュータの基礎的な仕組みを体験するコーナーも設けられ、子どもたちは嬉々としてそういった展示に触れていました。
各ツアーや展示は、午前10時から午後4時まで行われましたが、終始賑わいを見せていました。繰り返し行われた「京」コンピュータ関連のツアーはほぼ満員で、展示や講演には一般参加者の熱気がありました。その熱心な姿からは、一般参加者のスーパーコンピュータに対する強い興味と期待が感じられました。