ニュースレターVol.2(2014年冬号)を発行しました
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目次は次のとおりです。
- 「核融合炉の閉じ込め性能を解明するプラズマ乱流シミュレーション」日本原子力研究開発機構
- シミュレーションの現場から「ソニー 先端マテリアル研究所」
- ソフトウェアライブラリ「PHASE」
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ものづくりにHPCを活用するための ツールとケーススタディー
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ユニークな計算科学シミュレーションの成果を動画で紹介するシリーズです。「可視化」の最先端を体験してください。
第1回のテーマはザリガニの熱流体解析。ニュースレターVol.1の表紙と同じシミュレーションを秒間24コマのムービーにしたものです。
提供:理化学研究所 計算科学研究機構 可視化技術研究チーム
2013年10月19日、爽やかな秋の風がそよぐ神戸ポートアイランドにて、「平成25年度 神戸医療産業都市・京コンピュータ一般公開」として神戸医療産業都市周辺の各施設の一般公開が行われました。
この一般公開は、先端科学をリードする施設や最先端医療・研究に、楽しみながら身近に触れられるというものです。そのなかで、理化学研究所計算科学研究機構(RIKEN AICS)によるスーパーコンピュータ「京」の一般公開も行われました。
会場では、稼働中のスーパーコンピューター「京」を見学できるツアー、「京」のシステムを支える熱源機械棟や「京」を地震から守る免震ピットを間近に見られるツアー、「京」に関する資料・模型等展示などが催されました。また、計算科学研究機構(AICS)の研究を紹介する展示やミニ講義、高度情報科学技術研究機構(RIST)の計算機歴史博物館(展示)も平行して開かれました。
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創刊号の目次は次のとおりです。
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東京大学生産技術研究所・革新的シミュレーション研究センターのセンター長であり、国家プロジェクト『次世代スーパーコンピュータ戦略プログラム分野4・次世代ものづくり』を統括する加藤千幸教授による創刊のご挨拶
ここで言うシミュレーションとは何なのか。今後の議論の前提なので、まずこの点を簡単に整理しましょう。
広義のシミュレーションを「ある事象の結果がどうなるかを予測すること」とします。避難訓練のときは、火事が起きたらどうなるかを予想して行動しますね。これもシミュレーションのひとつ。こうした予測をコンピュータの力で行うことを計算科学シミュレーションと言います。当然、コンピュータの能力によって可能なシミュレーションは違ってきます。スーパーコンピュータのように高速な計算機を使う領域をハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)と呼び、『計算工学ナビ』で扱うのは、おもにこのHPCによるシミュレーションです。
計算科学シミュレーションは「現象を記述する方程式の近似解を計算機で求めること」と言い換えることができます。たとえば、落下中のリンゴの1秒後の位置はニュートンの運動方程式を解くことで予測可能です。もちろん、実際の複雑な問題に対して紙と鉛筆でこうした計算をしていてはなかなか答えがでないので、コンピュータの出番となります。コンピュータの能力が向上するにつれ、予測可能な現象は飛躍的に増えました。気象予測や災害シミュレーションの結果は目にする機会が多いでしょう。そうした適用範囲のひとつに「ものづくり」があり、シミュレーションの効果が大きい分野のひとつです。
すでに産業界の現場では、ものづくりのためのシミュレーションが広く行われています。しかし、現在の最高性能のコンピュータを使ってできるシミュレーションと現場のそれとの間にはギャップがあるのではないでしょうか。つまり、潜在的なコンピュータの能力がまだ生かされていない。現場のシミュレーションで使われるコンピュータは64コアくらいのものが一般的。一方、『京』は64万コアです。1万倍の開きがある。大きなギャップです。ただし、このギャップは良いギャップとなり得ます。我々の取り組みはこのギャップを他者に先んじて埋め、産業競争力を生み出すことが目的です。
ものづくりにおけるシミュレーションの効果をまとめると次の3つです。
実験の代替 ものを作らなくていいから開発期間が短くなる
現象の理解 より深く理解することで性能や信頼性を向上させる
最適設計 最適なパラメータをシミュレーションで探し出す
これらは産業競争力の源泉であり、とくにものづくりを主要産業に位置づけている我が国にとって、この分野で先行することは競争力維持のため不可欠と言っていいでしょう。とは言え、実務への導入は一朝一夕にはできません。2018年に到来するであろう10万コア時代を見据えて、今から実証研究や人材育成に取り組む必要があります。刻々と変動するビジネス環境のなかにあって、その負担は小さいものではないかもしれません。
我々は産業界におけるそうした活動を支援しています。開発したシミュレーションソフトウェアはすべて公開し、トライアルに供しています。また、ワークショップやシンポジウムを通じて利用技術の共有を図っています。この『計算工学ナビ』もそうした情報共有の一環としてスタートしました。今後継続的に、研究者からの成果報告、産業界からの事例紹介、各ソフトウェアの解説記事などをお伝えしていく予定です。
皆さんからのご質問やご要望も歓迎します。ウェブサイトを通じてお寄せください。